■神様と過ごした三日間■ □side-D□
夕方の少し肌寒い風が頬をなでていく。静かになった境内に一人残った彼は、しばらくユタカが駆け下りていった石段の方を見つめていた。
しばらくして、彼はおもむろにポケットから折り畳み式の携帯電話を取り出した。画面を開いて、手なれた様子でボタンをいくつか親指で押すと、そのまま耳に当てた。
少し経って、彼は口を開いた。
「あ、もしもし、ぼくだよ。うん、今日やっぱり、家に帰るわ。うん、ちょっといろいろあってね……もっかいちゃんと話してみようかなって思ったんだ。うん、今度話す。泊めてくれてサンキューな。…あはは、わかってる、今度酒持ってけばいいんだろ? それじゃ、また学校でな」
彼は電話を切ると、再び画面を折りたたんで無造作にポケットに突っ込んだ。そしてもう一度神社の方を見やると、ゆっくりと鳥居をくぐって石段を降りていった。
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