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■File:3 トラシュー部の危機!? テストと梅雨を撃退せよ!■ □side-F□

「結局学年三十三位か。結構頑張ったじゃないか、サチ」
「へへへ、まぁな〜」
 いつものトラシュー部の部室にて。梅雨もすっかり終わって再び活力を取り戻した幸は、ものすごく上機嫌だった。
 今回のテストで平均点は自己ベストを更新、教師陣も幸の頑張りを認め、部活動停止はなしとなったのだ。
「まったく、わたくしに感謝してくださいな。本当は他人を入れる場所ではないんですのよ」
「分かってるって、サンキュー、ヒナ」
 あの後、雛子の家の車に乗せられて行ったのは、櫻井家の所有する市内の別荘だった。八番館と呼ばれるそれは、本来は櫻井グループの上役しか入れない、超プライベートな別荘である。
「にしても金城、テスト当日に風邪とは…あいつも災難だな」
「なんでも、帰ろうとしたら傘が盗まれていて、濡れて帰ったらしいですわよ」
 みすぼらしいですわ、と雛子が鼻を鳴らす。
「ふーん……まっ、何にせよ俺の不戦勝だよな〜♪」
「良かったですね、先輩♪」
 結衣がにっこりと微笑みかけると、幸も満面の笑みでうなづいた。
「おう! お前らもサンキューな!」
 この光景を見ていた明良は、ふと、あの時の結衣を思い出した。
 なぜ、彼女は黒ローブを着ていたのだろう。
「………まさかね」
 明良は物事を穏便に済ますために、そっとこのことを心のうちにしまっておいた。


 一方その頃。
「くそぅ、トラシュー部め……こんな対決無効だ、次こそ必ずつぶしてやる……!!」
 自宅のベッドで、金城は熱に浮かされながら、ますます闘志を燃やしていたのだった。

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