kazameigetsu_sub-signboard はじめに メンバー 文章 イラスト 手仕事 放送局 交流 リンク

■File:6 結衣の退部!? 呪いに脅える男子生徒を守護せよ!■ □side-J□

「驚いた、まさかあんなことになるとは……」
 中庭の陰で一部始終を見ていた男が驚きを押し殺した声で呟いた。しかも計画は失敗だ。自分が関わっていたことがばれる前に、ここからひとまず退散せねば。
 こそこそと中庭を去ろうとした影の背後で、ぽきぽきと指を鳴らす音が響いた。
「金城〜…?」
 背後から名前を呼ばれて、影、金城一成は飛び上がった。振り向けば、トラシュー部の四人が怒りもあらわに金城を睨みつけていた。
「お前が裏で糸を引いていたことぐらい、学校にいなくても俺にはお見通しだ。逃げられると思ったのか?」
 孝也がくいっと眼鏡を上げた。その表情は風のない湖のように静まり返って平坦だったが、その奥からはうねるような怒気がにじみ出ていた。
 その隣で、幸があふれ出る殺気を抑え込みながら金城に一歩歩み寄った。
「よくもうちの後輩を巻き込んでくれたな、あ? いくら部をつぶしたいからって、あれはやり過ぎってもんだぜ金城」
「し、知らん! 黒魔術を学ぶと言ったのはあくまで本人だ!」
「だが、そうなるように仕向けたのはお前だな?」
 孝也の冷静な指摘に、金城はぐっと声を詰まらせた。時鳴の刀が鞘から浮いてちん、と鳴り、金城は体をすくませた。
「ぼ、暴力は反対だ!」
「あら、人に暴力を働かせようとしたくせに、よくもまぁそんなことが言えますわね」
 意地悪い笑みを浮かべた雛子の言葉に、金城の顔が音を立てて青ざめた。
「ま、暴力は使わないさ…でもな」
 と、幸が悪魔のように凄惨な笑みを金城に向けた。
「オトシマエはきっちりつけてもらうぜ、金城」

<side-I 戻る side-K>

Copyrights © 2004-2019 Kazameigetsu. All Right Reserved.
E-mail:ventose_aru@hotmail.co.jp
inserted by FC2 system