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■File:6 結衣の退部!? 呪いに脅える男子生徒を守護せよ!■ □side-H□

 トラシュー部が藤岡の依頼を受けてから二日が経った。放課後、用事がある藤岡を明良は送りに行き、残った幸、時鳴、雛子の三人は、部室で何をするでもなく各々の時間を過ごしていた。
 幸が暇を持て余して盛大に欠伸をした時、部室のドアが開いた。
「待たせたな」
 入ってきたのは、数日ぶりに姿を見せた孝也だった。久しぶりに見る孝也の姿に、幸の顔がぱっと輝いた。
「タカ! 今日は来ないんじゃないかと思ったぜ!」
「研究結果をまとめるのに手間取ってな。エミナがギリギリになってから結論を考え直すから……」
 ぶつぶつと孝也が自分の母親に文句を言い始めたのを、雛子がイラつきながら遮った。
「それで? 授業には出ないでここに来たということは、もちろん何か収穫がおありなんでしょ? 無駄話はいいからさっさとお出しなさいな」
 高圧的な雛子にふんと鼻を鳴らして、孝也は眼鏡をくいと上げた。
「もちろん情報はそろっている、俺に抜かりはない。…依頼人とアキはどこだ?」
「依頼人に用事があるとかで、今日は部室に寄らないぜ」
 幸が答えると、孝也はふむ、と一人納得したようにうなづいた。
「なるほど、じゃあ急いだ方がよさそうだな」
 そう言って鞄を椅子に放り投げると、さっさと踵を返して部室のドアを開けた。
「おい、タカ。ちゃんと説明しろよ」
「歩きながら話す。ここから校舎は距離があるからな、移動に時間がかかる。もしかしたら、アキが危ないかもしれないぞ」
 孝也の思わぬ一言に、幸と時鳴と雛子は怪訝な面持ちで顔を見合わせたのだった。

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